フリマサイトを見ていると、ふと思うことがあります。
「ちいかわって、こんなに高く売れるの?」
定価で販売されていたグッズが、
フリマサイトでは何倍もの価格で出品されていることがあります。
もちろん、すべての商品が高値で取引されるわけではありません。
限定品だったり、販売数が少なかったり、人気のキャラクターだったり。
そこには「希少性」という理由があります。
でも、私は不動産の仕事をしているからこそ、もう一つ気になることがあります。
「これって、不動産の価格高騰と少し似ていない?」
コンテンツ
「人気だから欲しい」は、なぜ生まれる?

ちいかわが人気なのは、単純に「かわいいから」だけではないと思います。
弱かったり、怖がったり、失敗したり、一生懸命働いたり。
完璧ではないキャラクターだからこそ、
「わかる」
「応援したい」
「自分も頑張ろう」
と、感情移入してしまう。
そこに限定商品やコラボ商品などが加わると、
「かわいい」から、「今、手に入れたい」へと気持ちが変わっていきます。
さらにSNSを見ると、
「買えた!」
「売り切れていた!」
「○○限定だった!」
という情報が次々と流れてくる。
すると、
「そんなに人気なんだ」
「みんな欲しがっているんだ」
「私も欲しい」となる。
ここには、行動経済学や消費者心理で説明されるいくつかの心理が働いています。
「みんなが欲しい」は、価値を高く感じさせる

代表的なのが社会的証明です。
人は、自分だけでは判断できないとき、他人の行動を参考にします。
行列ができている店を見ると、「きっと美味しいんだろう」と思う。
たくさんの人が買っている商品を見ると、
「きっと良い商品なんだろう」と思う。
不動産でも同じです。
「このエリアは人気です」
「このマンションはすぐ売れます」
「資産価値が高いです」
そんな情報を繰り返し見聞きすると、その物件自体を詳しく調べる前に、
「人気=価値が高い」と感じてしまうことがあります。
「限定」「残りわずか」が欲しくなる理由
もう一つが希少性です。
「限定100個」
「期間限定」
「残りわずか」
と言われると、急に欲しくなる。
なぜでしょう?
それは、
「今を逃したら、二度と手に入らないかもしれない」
という心理が働くからです。
不動産にも、
「この条件の物件はなかなか出ません」
「この価格ではもう買えません」
「今決めないと他の人に取られます」
という場面があります。
もちろん、本当に希少な物件もあります。
だからこそ重要なのは、
「本当に希少なのか?」を自分で確認すること。
そして「値上がりしているから買う」という不思議

ここから、不動産の世界ではさらに複雑になります。
例えば、ある地域のマンション価格が上昇したとします。
「価格が上がっている」
↓
「人気がある」
↓
「将来も上がるかもしれない」
↓
「今のうちに買っておこう」
↓
「買いたい人が増える」
↓
「さらに価格が上がる」という循環が起きる可能性があります。
もちろん、不動産価格はこんな単純な心理だけで決まるものではありません。
土地の供給、建築費、金利、所得、人口動態、交通利便性、
賃料、需給バランスなど、さまざまな要因があります。
しかし、「値上がりしている」という事実そのものが、
さらに需要を刺激することはあります。
ここには、投資家心理や群集心理が関係しています。
転売と投機の共通点

ちいかわのグッズを買う人の中には、「自分が欲しいから買う」という人がいます。
一方で、「人気があるから、後で高く売れるかもしれない」という理由で購入する人もいる。
後者になると、商品の「使用価値」よりも、
「誰かがもっと高い価格で買ってくれる可能性」が重要になります。
不動産の投機も、心理構造だけを見ると似ています。
「ここに住みたい」ではなく、「値上がりしそう」
「数年後に売れば利益が出そう」という期待で購入する。
つまり、住むための家が、値上がりを期待する「商品」になる。
ここに、私は住宅市場を見るうえでの大きなポイントがあると思っています。
「売り出し価格」と「価値」は違う

ここで、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。
フリマサイトで、
「このちいかわが10,000円で出品されている」からといって、
「この商品の価値は10,000円」とは限りません。
同じように、「このマンションが1億円で売り出されている」からといって、
「このマンションには1億円の価値がある」とも限りません。
売り出し価格は、あくまで売り手が希望している価格です。
実際にいくらで取引されたのか。
周辺ではどのくらいの価格で成約しているのか。
その価格に見合う価値があるのか。
そこを見る必要があります。
「人気」と「自分にとっての価値」を分けて考える

私は、不動産を選ぶときに一番大切なのは、
「他人にとっての価値」と「自分にとっての価値」を分けて考えることだと思っています。
駅から近い。人気エリア。資産価値が高い。将来値上がりするかもしれない。
もちろん、どれも大切な情報です。
でも、それだけで、「この家を買うべき」とはなりません。
その家で暮らしたとき、朝、気持ちよく起きられるか。
家族との時間を楽しめるか。
自分らしく暮らせるか。
通勤や子育ては無理なくできるか。
そして、「この家に住んで良かった」と思えるのか。
それも、住まいの大切な価値です。
ちいかわから学ぶ「住まいの判断力」
ちいかわのグッズを買うことが悪いわけではありません。
好きなものを買って、毎日幸せな気持ちになれるなら、それは素敵な消費です。
問題なのは、「みんなが欲しがっているから、自分も欲しい」と、
「自分が本当に欲しい」を混同してしまうことです。
これは家選びでも同じです。「みんなが買っているから」ではなく、
「自分と家族の人生に、この家は必要なのか?」と考える。
「値上がりするから」ではなく、
「この家で、どんな毎日を送りたいのか?」と考える。
人は「価値」を買っているのか?

ちいかわの転売から不動産価格まで見ていくと、面白いことに気づきます。
私たちは商品そのものだけではなく、「人気」「希少性」「他人からの評価」
「将来の期待」にもお金を払っています。
だからこそ、「高い=価値がある」
「人気=自分にも必要」とは限りません。
大切なのは、市場が作った価値と、
自分が感じる価値を分けて考えること。
それが、情報に振り回されず、
自分の人生に合った選択をするための「判断力」なのだと思います。
ちいかわを買うときも。ブランド品を買うときも。
そして人生最大の買い物になるかもしれない「家」を買うときも。
一度、立ち止まって考えてみてください。
「みんなが欲しいから、私は欲しいのか?」
それとも、
「私は、本当にこれが欲しいのか?」
その違いに気づくことが、「買わされる人生」ではなく、
「自分で選ぶ人生」につながっていくのではないでしょうか。
