🏠 借主が知っておきたい!家賃値上げ・退去要求・立ち退き料の正しい知識

「家賃を上げたい」「応じないなら出ていって」——そんな貸主からの通告、本当に正しいのでしょうか?
借地借家法では、家賃の値上げには借主の合意が必要です。合意しない限り、従前の家賃を払い続けていれば契約は有効に継続されます。また、強制退去は違法であり、裁判所の命令なしに退去させることはできません。正当事由がある退去でも、借主は立ち退き料を請求する権利があります。
知っているだけで住まいを守れる「正しい知識」、あなたは持っていますか?

~知らなきゃ損する「借地借家法」の基本~

1|家賃の一方的な値上げはNG。借主の同意が必須です!

「来月から家賃を1万円上げます」——
こんな通知が来ても、貸主だけの都合では家賃を変更できません

📘 法的根拠:借地借家法 第32条

家賃の変更には、以下のような合理的理由借主の合意が必要です。入居時の契約書にも条文があると思うので確認してみて下さい。

  • 固定資産税などの負担が増えた
  • 建物の維持費が著しく増加した
  • 周辺相場に比べて賃料が不相当に低い
  • 経済状況が大きく変化した

💬 合意しない場合はどうなる?

従前の家賃をそのまま支払い続けてOKです。

借主が新しい家賃額に合意していなければ、これまで通りの賃料を支払い続けていても契約は継続されます
その間、貸主は調停や訴訟などの法的手続きを経て「値上げの妥当性」を証明しない限り、強制的に値上げできません。

2|「合意しなければ出ていけ」は違法行為です!

貸主が借主の同意もなく家賃を上げ、「応じないなら出ていけ」と迫るのは法律違反です。

❌ 違法な強制退去の例

  • 勝手に鍵を交換 → 建造物侵入罪の恐れ
  • 家財道具を勝手に処分 → 窃盗罪や器物損壊罪
  • 張り紙や口頭で「出て行け」と通告 → 脅迫・威力業務妨害の可能性も

いかなる事情があっても、裁判所の「明け渡し命令」がなければ退去を強制できません

3|立ち退き料とは?

~退去に応じる代わりに請求できる補償金~

オーナーが「契約更新をしない」「立ち退いてほしい」と求める場合でも、借主を退去させるには正当事由が必要です。

📘 正当事由とは?

  • 建物の老朽化や建て替えの必要性
  • 貸主自身や親族の居住の必要性
  • 家賃の未払いなどの契約違反行為

しかし、多くの場合、この「正当事由」だけでは不十分とされます。
そこで、貸主は「立ち退き料(立退料)」を支払うことで、正当性を補完します。

💰 立ち退き料とは?

借主が「退去に応じる代わりに受け取る補償金」。
以下の費用が含まれます:

  • 引っ越し費用
  • 新居の敷金・礼金・仲介手数料
  • 引越に伴う家具・設備の入れ替え費用
  • 転園・転校による影響補填(家族帯同の場合)
  • 慣れ親しんだ生活圏を離れる精神的損害への補償

金額の相場はまちまちですが、月額家賃の6か月〜12か月分程度が交渉の目安とされています。

5|まとめ:借主の権利は法律で守られています!

📝 家賃変更には「合理的理由」と「借主の合意」が必要です

家賃を変更する際には、貸主側に経済的・社会的な合理的理由があることに加え、借主の合意が必要不可欠です。これは、借地借家法第32条に基づく原則であり、たとえ入居時の契約書に「家賃改定条項」が記載されていたとしても、自動的に値上げが成立するわけではありません

契約書にはよく「経済事情の変動や税負担増加等により、家賃の見直しを行うことがある」といった条文が盛り込まれていますが、これはあくまで値上げ交渉の可能性があることを示すにすぎず、合意がなければ効力を持ちません。

そのため、通知だけで値上げを受け入れたことにはならず、借主が納得しない限りは従前の家賃を支払い続けていれば契約は継続されます。

内容借主の権利と対応
家賃値上げの提案合意しなければ従前の家賃を払い続ければOK
値上げに応じないと退去と言われた応じる義務なし。強制退去は違法
一方的な退去通告正当事由がなければ無効。退去不要
立ち退き料の請求正当事由+補償として請求可能
法定更新時の値上げ合意がなければ旧家賃で契約継続

🛡 4|借主がとるべき対応ステップ

  1. 通知書・会話記録は保存(LINE・録音・張り紙など)
  2. 書面で値上げ理由や退去要請の根拠を確認
  3. 納得できない場合は合意せず、従前の賃料を支払い続ける
  4. 内容証明郵便で異議申立てを行う
  5. 法テラス・住宅相談窓口・弁護士に相談
  6. 退去する場合は立ち退き料をしっかり交渉する

✅ 最後に:迷ったらすぐ相談を!


  • 家賃は「貸主が決めるもの」ではなく、「双方が合意するもの」です。
  • 合意がなければ、これまで通りの家賃を払い続けていれば契約は有効です。
  • 不当な退去要求には応じず、必要なら法的手段で自身の権利を守りましょう。

不安なときは、一人で悩まず必ず専門家に相談を。
あなたの住まいを守る力は、「知識」と「冷静な対応」にあります。