「今、家は買い時ですか?」
不動産の仕事をしていると、この質問を本当によくいただきます。
ニュースでは、
「マンション価格は過去最高」
「住宅ローン金利が上昇」
「今後は価格が下がるかもしれない」
SNSでは、
「今すぐ買うべき」
「いや、まだ待つべき」
毎日のようにさまざまな情報が流れています。
情報が多い時代だからこそ、多くの方が「誰かの答え」を探してしまいます。
でも私は、お客様から「今が買い時ですか?」と聞かれたとき、すぐに答えをお伝えすることはありません。
なぜなら、「買い時」は他人が決めるものではなく、自分自身で考えるものだと思っているからです。
「市場の買い時」と「あなたの買い時」は同じではありません

住宅市場には相場があります。
価格が上がることもあれば、下がることもあります。
金利も変動します。
もちろん、それらを知ることはとても大切です。
しかし、市場の状況だけでは、その人にとって「買うべきタイミング」は決まりません。
例えば、
- お子さんの入学を控えているご家庭
- 共働きで通勤時間を短くしたいご夫婦
- 在宅勤務が増え、住環境を見直したい方
- ご両親の近くへの住み替えを考えている方
同じ住宅市場を見ていても、それぞれの「買い時」は違います。
だから私は、「世の中の買い時」ではなく、「あなたにとっての買い時」を一緒に考えたいと思っています。
データは「答え」ではなく、「判断するための材料」

私は市場データを見ることが好きです。
例えば、REINS(東日本不動産流通機構)が毎月公表している首都圏の中古住宅市場データも必ず確認しています。
2026年6月のデータでは、首都圏の中古マンション市場は、成約価格や成約㎡単価が前年を下回る一方で、在庫件数は増加しており、市場に少し変化の兆しが見え始めています。
こうしたデータを見ると、
「少し買主が比較・検討しやすい環境になってきたのかもしれない」
という仮説を立てることはできます。
しかし、データは答えではありません。
データは、自分で判断するための材料です。
数字だけを見て「買う」「買わない」を決めるのではなく、その背景を考えることが大切です。
現場で感じる「売り出し価格」と「成約価格」の違い

最近、私が現場で感じているのは、売主様が希望する売り出し価格と、実際に成約する価格との間に差があるケースです。
市場価格が上昇したことで、「できるだけ高く売りたい」というお気持ちは自然なことです。
一方で、購入を検討される方は以前より慎重になっています。
私は購入をご検討される方に、価格だけを見るのではなく、
- この物件はいつから販売されているのか
- 価格改定は行われているのか
- 売却理由は何か
といった背景も確認することをおすすめしています。
こうした情報を知ることで、冷静な判断や交渉につながることがあるからです。
「高く売れる」という情報を、そのまま信じない

最近では、「今なら高く売れる」「無料査定」といった広告を目にする機会も増えました。
もちろん、市場価格が上昇しているエリアがあることは事実です。
ただし、査定価格は「参考となる価格」であり、実際の成約価格とは異なる場合があります。
大切なのは、広告の言葉だけを信じることではありません。
市場の状況や近隣の成約事例、物件の状態など、さまざまな情報を総合的に見て判断することです。
情報が多い時代だからこそ、「情報を集める力」だけでなく、「情報を読み解く力」が求められていると感じます。
まとめ|「買い時」は、誰かにもらう答えではない
住宅市場には相場があります。
価格も金利も、住まい選びに欠かせない情報です。
しかし、人生には一人ひとり違うタイミングがあります。
子どもの成長。
働き方の変化。
家族との時間。
これから送りたい暮らし。
それらを踏まえて、「今がわが家の買い時だ」と納得できたときが、本当の買い時ではないでしょうか。
私はこれからも、「家を売るための情報」ではなく、「自分で判断できる力を身につけるための情報」を発信していきたいと思います。
次回予告
Vol.2
「ネットの不動産情報を鵜呑みにしない|『価格』を見る前に知っておきたいこと」
SUUMOやHOME’S、アットホームなどの不動産サイトには、多くの物件情報が掲載されています。
しかし、その価格は「売り出し価格」であり、必ずしも「実際に売れた価格」とは限りません。
また、掲載期間や価格変更の有無など、少し視点を変えるだけで見えてくる情報もあります。
次回は、誰でも見ることができる不動産情報サイトを例に、「数字に振り回されず、自分で判断するための見方」をお伝えします。



