
「家を買うなら、住宅ローンはどれを
選べばいいですか?」
不動産の現場にいると、
必ず聞かれる質問です。
最近は、従来の通常の住宅ローンに加え、
「残価設定型住宅ローン」という
新しい選択肢も注目されています。
月々の返済額が抑えられると聞くと
魅力的に感じますが、
果たして本当に“お得”なのでしょうか。
今回は、家を買う人にとって
どちらが良いのかを、
仕組み・メリット・デメリットを
踏まえて分かりやすく解説します。
通常の住宅ローンとは?

通常の住宅ローンは、借入金額を
元利均等返済や元金均等返済で、
35年などの期間をかけて完済していく、
もっとも一般的な住宅ローンです。
完済すれば住宅は完全に自分の資産となり、
その後はローン返済のない生活が始まります。
仕組みがシンプルで、
✅総支払額が把握しやすい
✅金利タイプの選択肢が多い
✅将来の制約が少ない
という点が大きな特徴です。
残価設定型住宅ローンとは?

残価設定型住宅ローンは、
将来の住宅価値(残価)を
あらかじめ差し引いて借りるローンです。
例えば、3,000万円の住宅に対し、
将来の残価を1,000万円と設定した場合、
当初は2,000万円分を
中心に返済していくイメージになります。
一定期間後(多くは20~25年後)、
残価部分について次の選択肢が用意されています。
✅そのまま完済して住み続ける
✅残価分を一括返済・借り換えする
✅住宅を買い取ってもらう
「将来の選択肢が残されている」ことが、
このローンの最大の特徴です。
月々の返済はどちらが楽?
結論から言うと、
月々の返済が軽くなるのは
残価設定型住宅ローンです。
残価分を除いた金額で
返済を始めるため、
同じ借入額でも毎月の支払いは
抑えられます。
ただし注意したいのは、
「月々が安い=総額が安い」
ではないという点です。
残価設定型は、
・将来の一括支払い
・借り換え
・利息負担の長期化
などにより、総支払額が増える
ケースも少なくありません。
資産として考えるならどっち?
住宅を「資産」として考える場合は、
通常の住宅ローンの方が有利です。
通常ローンは、返済が進むほど
確実に資産形成が進みます。
完済後は、売却・賃貸・相続などの
選択肢も自由です。
一方、残価設定型住宅ローンは、
将来の住宅価値を前提にした設計のため、
自由度がやや制限されます。
特に、
「最後まで住み切るつもりだったが、
残価の支払いが負担になる」
というケースには注意が必要です。
ライフプラン重視ならどっち?
ライフプランの柔軟性を重視するなら、
残価設定型住宅ローンが
向いている人もいます。
例えば、
・将来、住み替えの可能性がある
・定年後の収入に不安がある
・今は教育費などで支出が多い
こうした方にとって、
将来の選択肢が用意されている
残価設定型は「安心材料」になる場合が
あります。
ただしこれは、
“保険的な住宅ローン”と
理解して選ぶべきものです。
宅建士視点でのアドバイス
不動産実務の現場で見る限り、
多くの方にとって基本は
通常の住宅ローンです。
残価設定型住宅ローンは、
・仕組みを十分理解している
・将来の住み方が流動的
・資金計画に余裕がある
こうした条件が揃って、
初めて検討価値が出てきます。
「月々が安いから」という理由だけで選ぶと、
将来、思わぬ負担になる可能性もあります。
まとめ|迷ったらこの質問を
最後に、判断のためのシンプルな質問を一つ。
「この家に、65歳以降も住み続けたいですか?」
はい → 通常の住宅ローン
迷っている/分からない → 残価設定型を検討
住宅ローンは、金利よりも「生き方」によって向き不向きが決まります。
目先の数字だけでなく、
10年後・20年後の暮らしまで想像して、
自分に合った選択をしていきましょう。